第14回講座−宗教と音楽−


項目
1、宗教に於ける音楽 6、天女の音楽
2、神楽 7、新興宗教にも盛んな音楽
3、雅楽 8、盆踊りは念仏踊りから発生
4、ヒンズー教 9、教会にパイプオルガン
5、仏教音楽 10、宗教は知識だけではだめ

1、宗教に於ける音楽
 宗教にとって音楽は非常に大事なものなんです。
音楽は、人の情感に直接訴えかけることができますから、情感に訴え掛ける深さに於いて、それは視覚を上回ります。

2、神楽
神道なら、雅楽(ががく)や神楽(かぐら)、とくに神楽は聞いて見て楽しいものです。テンポの速い石見神楽(いわみかぐら)なんかは面白いです。高千穂神楽(たかちほかぐら)の一つなどは、仕草がとても素朴でユーモラスです。
一口に神楽といいますが、全国にはものすごい数の神楽があるんです。

3、雅楽
  神道では、もう一つ雅楽といわれるものが、音楽となっています。もっとも雅楽の源流はインドや中国から奈良時代に朝廷に伝わったものです。ですから雅楽は、仏教寺院でも大変盛んに演奏されるのです。 そして民間にも広まりました。
 九州北部の民謡となっている黒田節も越天楽(えてんらく)という雅楽曲の旋律が使われていることは有名です。「酒は飲め飲め、飲むならば」と歌いながら皆さんも越天楽と聞き比べてみてください。

4、ヒンズー教
 シタールという楽器を用いるインド音楽も、曲が最高潮に達して、終わった瞬間、ヒンズーの神(シバ神)と合一することを目的しているといいます。音楽は神との接触を助けるのです。

5、仏教音楽
 仏教のお坊さんが、お経を朗誦することを声明(しょうみょう)といいますが、実にいいものですし、哀調を帯びて、本当に無常観を感じさせてくれます。
 鎌倉時代などは、イケメンで声の良い若いお坊さんの声明や念仏が評判となり、多くの貴婦人が寺に集ったという、艶っぽい話もあります。
 
6、天女の音楽
 平等院鳳凰堂に行きますと、天井に天女が描かれていますが、実はこの天女は音楽に合せて舞っているのです。ですから良く心の耳を澄ますと、天上界の音楽が聞こえてきます。どんな音楽か、想像しただけで楽しくなります。きっとむちゃくちゃ幸せになれる音なんだろうと思います。

7、新興宗教にも盛んな音楽
 現在の新興宗教も、歌を歌ったり踊ったりしますね。宗教には、音楽や歌、そして踊りが大事な要素なんです。何よりも信者間の一体感を高めます。
踊りや歌は、集団人々の心を興奮させ、その興奮は悦びへと変容していきます。

8、盆踊りは念仏踊りから発生
 お盆の季節に盛んな盆踊りも、念仏踊りから発生したものが多いのです。それは踊って死者の霊を慰めるのが本来の目的でした。そう、お盆は、祖先や死者の霊が郷里に戻ってくる時なのです。それが精霊(しょうりょう)迎えであり、精霊送りの盆行事なのです。

9、教会にパイプオルガン
 パイプオルガンも、大きな大聖堂や教会で賛美歌等を歌う為に用いられたのです。あの巨大な楽器は大きな教会などでなければ入りません。
 西洋音楽では合唱などが盛んですが、その元は教会で賛美歌を歌うことにあるのです。西洋人は合唱が実に上手だということですが、その背景には幼い頃から教会に毎週礼拝に通って賛美歌を聞き歌っている素地があるからだと思います。

10、宗教は知識だけではだめ
 このように、宗教を勉強する人は、音楽を聴いて感性を磨いておくことが必要なのです。
本の文字からや、神社の建物からだけ神道を知ろうとしても、それは一面的で浅いものなのです。神道は宗教ですから、知識だけではありません。感覚、情感といった面からも触れていかないと、広く知ることは出来ても、深く知ることは出来ないのです。

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